Palermo"B"log: 8月 2013

2013/08/18

Palermo - Hellas Verona: 0-1 (TIM Cup)

(これまでのあらすじ)
新シーズン緒戦となったTIMカップ2回戦、新入り Laffertyらの活躍でCremoneseを倒した桃軍は3回戦でSerie A新規昇格組のHellas Veronaと対戦することに。Donati、Jankovic、Toniという3人のex擁するVeronaは夏のメルカートでも順調に補強を進めており、今や格上と呼ぶべき存在。思い返してみれば昨シーズンもやはり2回戦でCremoneseを下した我が軍に立ちはだかったのはVeronaで、この時は7分に先制しておきながらまさかの逆転負け。その後の低調なカンピオナートの象徴ともいうべき初陣であった。

当時のメンバーの一人にしてこの日初めてキャプテンマークを巻く Pisanoを中心にリベンジに萌える桃軍の面々であったが、そこに昨季Veronaに期限付き移籍していたBacinovicが…

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新生 Palermoがヤフーのトップページを飾った記念すべき瞬間

Palermo - Hellas Verona : 0-1 (前半0-1)
37' Toni 0-1

Palermo(4-2-3-1): Sorrentino; Pisano, Terzi, Andelkovic, Daprela; Bolzoni, Ngoyi; Lores, Dybala, Sanseverino ; Lafferty.

【交代】
26’ Bacinovic(⇔ Bolzoni)、46' Hernandez(⇔Sanseverino)、66' Vazquez(⇔Ngoyi)
観衆:14387人
退場:92' Bacinovic(警告2枚目)

Gennaro Gattuso 監督はCremonese戦に続いて4-2-3-1システムを採用。左サイドはAlen Stevanovicに代わり19歳のGiulio Sanseverinoが入った。生え抜きのトレクアルティスタは監督の現役時代と異なり運動量の少なさが課題と指摘されているが、今のところなかなか気に入られている様子。対するVeronaはCaciaとToniが最前線でゴールを狙う3-5-2システム。

前半はややPalermoよりの展開。 攻撃陣を牽引したのは若いDybala。しかし、早い時間から幾度と無く相手ゴールキーパー Rafaelを脅かしながらもポストに嫌われるなどして得点には至らず。一方のVeronaは37分、MartinhoのクロスにLuca Toniが頭で合わせ、この試合最初の枠内シュートでリードするというラッキーな展開で試合を折り返した。

後半、Gattusoはエース Hernandezを投入し、DybalaとLoresが両サイドを務める4-4-2システムに変更した。狙い通り両翼が相手3バックの裏を突き続々と決定機を生み出す桃軍だが、またもポストに阻まれるなど不運が続く。70分前後においては、サイドから突破を図ったLores へのエリア内でのファウルと、セットプレーでの相手ディフェンダーのハンドの二つの出来事が見逃され、Gattusoはこれらの判定に対する異議で退席させられた。Palermoは監督がベンチから居なくなった後も攻め続けたが、Rafaelの活躍もあり最後までゴールネットを揺らせず。今年も3回戦で姿を消した。

ただ、3回戦敗退は物足りない結果とはいえ、内容に関しては及第点と言えそう。個人ではKyle Lafferty、Ignacio Lores Varela、Eros Pisanoの3人は良いサプライズだと思います。Laffertyは長身だけどひたすらボールを待つタイプではなく、自分で動くことも出来る選手のよう。懸念とされている得点力もSerie Bではさほど苦しむことは無い…事を期待したい。Pisanoは昨シーズンの不振から脱したようで、(キャンプでは人手不足の左をやらされていた)右サイドでこの調子が続くなら負傷離脱中のMorganellaは暫く我慢の時期が続くかもしれない。プレースタイル的にも長身のLaffertyにボールを供給する役割ならPisanoの方が相応しいかも。

来週はいよいよカンピオナート開幕。それまでにもう少しだけメルカートでの動きもあるだろうか。背番号がない人たちとSorrentino以外ではBacinovicとVazquezにはチームを去る可能性がありそうですが、中盤の代役の名前が全く挙がっていないのがやや不安。Gattusoの「中盤に求めるのは守備力と運動量だけ、パス能力は不要」という考えからして、Migliaccioが残ってくれていれば、と思うのだけど…。


―Gennaro Gattuso(試合後)

「相手が攻撃時に深い位置から放り込んでくることは分かっていた。(失点時、)Pisanoがクロスに大して”鶏がつつくような”軽い対応だったのは残念。彼らは放り込みという賭けを繰り返していただけで、我々は不運だった。しかしパフォーマンスと試合への熱意は依然として良いものだったと思うし、新シーズンの始まりとしては上出来だ。土曜日の開幕戦では就任初日に宣言した「シャツを汗だくにする」「この美しい場所に興奮を取り戻す」というモットーを胸に戦いたい。個人的には問題は特に無い。あるのはクラブに求められた目標と結果を達成することだけ。チームを去る日まで、金ではなく情熱のために仕事に取り組むつもりだ。

中盤にはこれまでのところNgoyiとBolzoniを起用することが多いな。Bacinovicもチームに良い影響をもたらせる選手だが、現在のシステムからして中盤にはより多くのエリアをカバーできる(走力のある)選手を使いたいんだ。今日はVazquezも他のポジションで使ったが、それはVazquezはドリブルという唯一無二の個性を持っていたから。Strunaをボランチとして投入する可能性もあった。彼のカバー能力は気に入っている。」

2013/08/10

Munoz不在 緒戦を前にGattusoのコメント



Palermoは明日、Coppa ItaliaでCremoneseと対戦する。新監督 Gennaro Gattusoの初采配を前に、チームはプレシーズンで一貫して採用してきた4-2-3-1のシステムをテスト。守備陣はEzequiel Munozが負傷しており、Claudio TerziとSinisa Andelkovicの新入コンビがコンビを組むことになりそうで、ワントップもエース Abel Hernandezではなくやはり新入りのKyle Laffertyの先発が予想される。196cmの大型アタッカーは今のところ「得点力は低い」という前評判を良い意味で裏切っており、これらニューカマーが新天地でどのようなスタートを切るか。LP1のチームを相手に、リーグ戦開幕に向けた良いテストの機会となるだろう。

試合前日記者会見にて、Gattusoは主にプレシーズンでのチームのフィーリングを説明。まだまだ改善の余地があると考えているようだ。以下はその大まかな和訳。

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「準備は出来ていて当然。チームが私や仲間が思い描いていた理想の形でないのは特別珍しい事ではないし、それでも明日良い仕事ができるという自覚を持っている。このチームは素晴らしいゲームをできる。ムードという面においては、明日の試合はチームや街が自信を持つために非常に重要なものとなるだろう。内容よりも勝ってスタートすることが何より大事だ。

これを言わないのは偽善だと思うのだが、現役時代はこういう時、監督の緊迫感は(自分たち選手とは)まるで違うと感じていたものだ。我々は30人もの選手とスタッフを抱えているがね。もちろんスタッフは自分の仕事を軽減してくれているし、その働きぶりに満足してはいるが。試合について思うことは沢山ある。目を閉じて考えるのは試合において起こり得るあらゆる困難のこと。選手の時もいつもこうしていたし、様々な感情が入り混じるのは否定すべきものではない。ただしピッチでは選手たちの事を考えるべきだが。自分は落ち着いているし、チームがうまくやれると確信している。

レンツォ・バルベーラの観衆の前で初めてトレーニングした時は、自分も靴を履いてプレーしたいと思ったよ。あの状況で興奮しない人はいないだろう。ただ選手たちには今季、人々が彼らの口と我々の口の間にナイフを持っていることをよく理解しておけと伝えてある。火曜日の初練習での雰囲気や掲げられたバナー。それはこの街にとっての新しい熱意なのだと思いたいところだし、実際この街はそういった情熱に溢れているが、近年のチームへの称賛がそれについてだけなのはあまり喜ばしい事ではない。私には情熱と、仕事への意欲がある。我々を見た人は皆、我々のやり方が分かったはず。自分はチームに多くをもたらしたと考えているが、チームと街は一枚岩であるべきで、そのためにもっと苦難を共に乗り越えようとする必要がある。」

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ちなみにこれまでのプレシーズンでの戦い、気の早い人からは「Francesco Guidolinみたいだ」などと評されているらしい。フォーメーションは同じだが…はっきり言って結果は最高ではなかった。それにホームで7失点完封負けなど喫したらこの人の場合解任される前に辞任するでしょうね。

あまり多くなかったテクニカルなコメントで目に止まったのは「何人か明確に戦力外という位置づけの選手がいる」 「試してきた4-2-3-1では中盤にプレイメークはあまり求めていない」 の2点。構想外はおそらくセンターバックのSalvatore Aronicaか。他は状況次第でまだまだ変わり得る。

中盤に展開力を求めないというポリシーは我が軍の凋落が始まった11-12シーズンの最初の監督、Stefano Pioliのものと同じであることは不安をかきたてる。ただしあの年は開幕直前で監督を替えた上に3バックのPioliから4-4-2信者のDevis Mangiaに変更したものだからそれまでの編成が一瞬で台無しになった事による低迷だが…。キックオフは現地時間20時45分です。

■Cremonese戦 招集メンバー

GK: Fulignati, Sorrentino, Ujkani
DF: Andelkovic, Daprela, Goldaniga, Milanovic, Pisano, Struna, Terzi
MF: Bacinovic, Bolzoni, Di Gennaro, Embalo, Lores, Ngoyi, Sanseverino, Stevanovic, Troianiello, Vazquez
FW: Dybala, Hernandez, Lafferty, Malele

2013/08/04

Serie B 移籍市場での展開(後編)

降格が決まったPalermoにとって第一のタスクは余剰人員の整理。このクラブは選手を抱えすぎていて、それが市場での活動の足枷にもなっていた。大量に獲得した若手の多くはさっぱり芽が出ず、そもそもじっくり育成できる環境が無い事も確かだったとはいえ、個人的にはWalter Sabatini 元ディレクターに対しては恨みが募る…Roma では神聖視されているようですが。

2年ほど取り組んできたおかげで保有選手数はだいぶ減ってきたけど、今度はチームの舞台が変化。より上のカテゴリーが相応しい選手は出て行くだろうし、以前ならまだ求める水準に達していない選手も十分活用できるだろうしで、放出あるのみだった以前とは少し違った整理が必要になってくるかなあ、というのが事前の予想でした。

結果はどうかというと、一応は保有選手を活用しようとは思っている様子。センターバックのSinisa AndelkovicとMilan Milanovicのどちらかはポジションを確保できそうだし、ブルガリア帰りのIgnacio Lores Varelaも良い意味で期待を裏切りつつある。ただ、Nicolas Violaの放出とGiuseppe Prestiaの退団には不満が。Violaは高い評判とは裏腹に最後までチャンスを貰えなかったし、ユース出身の19歳 Prestiaは昨季Ascoliで25試合に出場、いよいよこれからというところをParmaに掻っ攫われてしまった。

さすがに現有戦力だけでは心許ないので、当然ながら資金を投じた補強もそれなりに。特に攻撃陣はGattusoが4バックを採用するらしい事もあって昨季から大分変わるかもしれない。監督本人の希望でSionから獲得したKyle Laffertyは190cm超の巨漢ストライカー。入団会見では監督から「(Luca Toniのような)ボンバーではない」と言われてしまったが、練習試合では好調ぶりを印象付けている。今後はエース Abel Hernandezの去就次第でEmanuele Calaio(Napoli)やMatteo Ardemagni(Modena)らの獲得に動くと報じられているけど、シーズン終了後のワールドカップを考慮すれば残留を選択するんじゃないでしょうか。それとは関係なく補強する可能性もあるけど。

守備陣ではSteve Von Bergenが母国に帰り、新たなスイス枠としてFabio Daprelaが加入した。ウルグアイ・北欧→アルバニア→スロベニア・パラグアイと来て今度はスイス化が進むのだろうか。この獲得で、おそらくSantiago Garciaは退団する運びになりそう。Garciaはプレシーズンキャンプの招集を拒絶しており、目下クラブと大喧嘩中。未熟な部分も多かったけれどガッツ溢れるスタイルには好感を抱いていただけに、この造反はかなりショックだった。でも、移籍するのならワールドカップを目指して頑張ってほしいな。

このように、いつになく順調に補強を進める今夏のPalermo。国内からの補強が多い点のも安心できる要素。ただし、ゴールキーパーだけはいまだに先行きが不透明。昨季の第2・第3キーパーが揃って退団したので、少なくともバックアッパーの獲得はあると思われます。

以下、8月4日現在の今夏の移籍リスト。

―獲得
Claudio Terzi(Siena)、Eros Pisano(Genoa)、Fabio Daprelà(Brescia)
Calros Embalo(Chaves)、Granddi Ngoyi(Troyes)、Francesco Bolzoni(Siena)、Gennaro Troianiello(Sassuolo)
Davide Di Gennaro(Spezia)、Alen Stevanović(Torino)、Kyle Lafferty(Sion)
 
―レンタルバック
Samir Ujkani(Chievo)、Emiliano Viviano(Fiorentina)

Siniša Anđelković(Modena)、Milan Milanović(Vicenza)、Aljaž Struna(Varese)
Armin Bačinovič(Verona)
Ignacio Lores Varela(CSKA Sofia)、Franco Vázquez(Rayo)
 
―退団
Francesco Benussi(Udinese)、Giacomo Brichetto(未定)
Steve Von Bergen(Young Boys)、Giuseppe Prestia(Ascoli)、Nelson(Almeria*)
Jasmin Kurtič(Sassuolo**)、Giulio Migliaccio(Atalanta)、Anselmo(Sao Caetano)、Massimo Donati(Verona)、Nicolas Viola(Ternana**)

Mauricio Sperduti(未定)、Josip Iličić(Fiorentina)、Fabrizio Miccoli(Lecce)

※追記…オーストリアキャンプ[7/10~]の招集メンバー
*...その後退団 **...昨季ユース所属(SanseverinoとMaleleはトップチームの試合に出場)

GK: Benussi*, Fulignati**, Sorrentino, Ujkani
DF: Andelkovic, Garcia(不参加), Goldaniga**, Milanovic, Morganella, Munoz, Pisano, Struna
MF: Bacinovic, Barreto, Di Gennaro, Embalo, Lores, Petermann**, Sanseverino**, Troianiello, Vazquez
FW: Dybala, Hernandez, Lafferty, Malele**